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厳寒
豊本

 ようやく北陸の冬らしい寒さになりました。さて、今月はその「寒い話」から始めます。
 
 地球上で最も寒いところを知っていますか。多くの人は北極だ、南極だと答えるでしょう。では、この2つのどちらがより寒いのでしょうか。
 
 北極は大陸に囲まれた海で、南極は海に囲まれた大陸です。また、陸地は水より温まりやすく冷めやすい性質があります。つまり、寒いときは海の北極より陸地の南極の方がずっと冷え込むわけです。また、北極には数十メートルの氷山しかありませんが、南極には何千メートル級の山があります。この地形からも南極の方が寒いと考えられます。
 
 ちなみに太陽が昇らない、最も寒い期間の気温は北極で-30~40℃、南極では-60℃以下になるそうです。
 
 ところで、南極点に方位磁石を置くとどうなると思いますか。普通S極は南をさします。では南極点ではどうなるのでしょう。実はこれは少し意地悪な問題です。南極点と磁石の南の地点(南磁極)は少し離れています。ですから南極点ではS極は南磁極の方向=南をさします。では南磁極に方位磁石を置くとどうなるでしょうか。次の中から選んでみてください。
 
(1) 回転する
(2) 直立する
(3) 反応せず、置いたままの状態になる
 
 答えは次のとおり。このときは、S極を下にして直立します。つまり正解は(2)です。
 
 ちなみに、北極や南極での旅行は、磁石で方向がわかりにくいため、星の位置から進む方向を割り出す「天測」という方法をとっているそうです。
 
 さて、寒さの厳しい季節です。南極ではウイルスがほとんどいないのでインフルエンザにはかからないそうですが、日本にいるときは体調を崩さないよう注意したいものです。

J-PRESS 1998年 2月号