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なぜだろう?(文房具編)
深田

 私たちの身のまわりには、言われてみると「なぜ」と思うことがたくさんあります。すぐに役立つわけではありませんが、いくつか紹介してみましょう。
 
●色鉛筆が丸いのはなぜ?
 普段使っている鉛筆の多くが六角形なのは、握りやすく、転がりにくいからです。では、色鉛筆が丸いのはなぜでしょう。色鉛筆は、普通の鉛筆に比べ芯が太く柔らかいので、六角形にすると力のかかる場所からすぐに折れてしまうのです。そのために色鉛筆は丸くなっているのです。
 色鉛筆についてもう1つの「なぜ?」。普通の鉛筆は削らずに売っているのに、12色や24色の色鉛筆が折れやすいにもかかわらず、削られているのはなぜでしょう。これは製造メーカーのサービスなのです。色鉛筆は1色だけを使うことはまれで、いっぺんに使い始めることが多いはずです。その時に全部をまとめて削るのは大変です。また、実際の芯の色と鉛筆の外側の色はどうしても微妙にずれてしまいます。そのクレーム対策も兼ねているのだそうです。
 
●消しゴムのケースはなぜ?
 元来は天然ゴム製だった消しゴムも、現在はほとんどがプラスチック製になっています。消しゴムはケースに入っていて、そこには「このケースに入れておきましょう」などと書かれています。これにもちゃんとした理由があるのです。消しゴムをきれいに保つためもありますが、それだけではありません。
 プラスチック製消しゴムの原材料は塩化ビニルですが、柔らかくするために可塑剤(DOP)というものが加えられています。この薬剤によって、机の上などに放置すると表面が溶けたり塗料がはげてしまうことがあるのです。消しゴムのケースはすぐに捨ててしまわないようにしましょう。
 
●三角定規に穴があるのはなぜ?
 わからない問題があると、つい三角定規の穴に鉛筆をつっ込んでまわしてしまうことがありませんか。ちょうど鉛筆がおさまるくらいの穴ですが、その役目は何なのでしょうか。
 穴から紙との間の空気が抜け、定規と紙を密着させる役目、紙の上を動かすときに摩擦を防ぎ、定規を滑りやすくする役目があります。さらに、うすい三角定規は紙にピッタリくっついてしまうととても取りにくくなります。その時に穴に指を入れると簡単に持ち上げることができるという役目もあるのです。小さな穴ひとつですが、いろいろと役に立っているのです。ちなみに、穴が丸いのは角があるとそこからひび割れを起こしやすいからだそうです。

J-PRESS 1998年 5月号