ネコとネズミとペンギンと石川
新聞のテレビ欄などを見ると、番組に対する視聴者の様々な意見が載っている。真面目にテレビを見ている人が多いなと感心。ドラマやバラエティはもちろん、ニュースでさえもテレビというフィルタを通している以上、ある意味フィクションなのだから、距離をおいて見るのが正しいテレビとの付き合い方だと思う。
たまには、普段縁の無い番組を少し違った視点で観てみるのもいいのではないだろうか。
中学や高校の夏休み、いつもなら学校に行ってる時間、普段観ないようなテレビ番組に出会い、その意外な面白さを見つけて嬉しくなることがあった。
中でも、ひときわ印象に残っているのが、あるSFドラマ。
舞台は、宇宙のかなたにある地球にそっくりな星。その星の小さな小さな島。
この島には、一匹のネコ、一匹のネズミ、一羽のペンギンが暮らしている。
このネコは悪い子。でもネズミを食べたりしない。ネコのくせに。
ネズミは海賊の子。祖先の海賊が隠した財宝を求めてこの島へ来たらしい。ネズミのくせに。
ペンギンは女の子。泳ぐのがへた。水が恐い。ペンギンのくせに。
ネコは字が読めない。そのくせ手紙を書いたりする。いったい誰に、何を書いているのか。不思議だ。
ネズミは何でも発明する。自動改札機を発明したこともある。3人しかいない島で、電車も走っていないのに自動改札機を何に使うのか。高岡駅にだって無いというのに。
ペンギンは太っている。太っていると言われると怒るくせに、気に入らない事があるとジャンプして地面を踏みならし地響きを起こす。言われるのは嫌だけど、太っているという自覚はあるらしい。女心は分からない。
女心だけではない。彼らの周囲には謎が満ちている。
ネコもペンギンも、もともと島の外からやってきた。親は何を思って子供をこんな島に送り込んだのか。もしや捨て子かと思えば、ときおり母親からの手紙が届いたりする。謎である。
島から出ようと、ネズミが得意の発明で船をつくったりする。でも沈没。決して島からは出られない。3匹を島から出すまいとする、何か見えない力が働いているのか。
恐ろしいクマがいるらしいが、声だけで姿は見えない。姿が見えないから、なお恐ろしい。
ネコはネコのくせに三味線が得意。三味線の材料を知っているのか。知っているなら、恐ろしいネコである。
ペンギンはペンギンのくせに、焼き鳥が大好き。女性は残酷。
ネズミは泣き虫。すぐに「よよよよ」と泣く。変だ。
こうして、見れば見るほど謎は深まるばかり。
幼年期にこんな番組を見て育つ日本の子供は大丈夫かと、思わず国の将来まで心配してしまう。
しかし、1992年9月、番組終了。幾多の謎は、解き明かされること無く、永遠に謎のまま。
そのネコの名は、ふくろこうじ・じゃじゃまる。
そのネズミの名は、ぽろり・カジリアッチ3世。
そのペンギンの名は、ふぉるてしも・ぴっころ。
夏休みの昼下がり、ふと思う。ぽろりは先祖の財宝を見つけられただろうか...