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 なぜこの時期に「海」なのか、と思う人もいるかもしれない。確かに水泳の時期は夏。暑い日ほど海に入りたくなるもの。しかし、最近また人気の出てきているスキューバダイビングは、実は夏より水中のプランクトンの少ない秋からが本番となる。この近海でも能登半島の方は日本海側の貴重なダイビングスポットになっている。また秋から冬にかけて風の強くなる日本海側ではサーフィンもこれから。何も暑い季節だけが海のシーズンではない。
 
 私たちの身近な遊び場として誰でも知っている海。しかし、その実体は全体の約20パーセントほどしか分かっていないそうだ。最近読んだ本の中に「海の巨大生物」というところがあった。古代ギリシャ神話の中にも色々な怪物が登場してくるが、現実にいたものや、今でも生存しているものもいるそうだ。
 
 4、5年前にはこの日本でも不思議なことが起こっている。これまでほとんど瀬戸内海に入ってきたことの無い獰猛なやつが入ってきたのである。映画でお馴染みの「ジョーズ」である。と言っても映画ほどバカでかくはなかったらしい。らしいと言うのは実は住民がすぐにサメ狩りをしたにもかかわらずそのサメは死体もあがってこなかった。ただ、犠牲になった漁師の食いちぎられたウェットスーツだけが手掛かりとして残っている。人食いザメが実際に日本で人を食い、今も、もしかしたらこの辺りを泳いでいるかもしれない。
 
 しかし、実際には映画「ジョーズ」クラスのものが存在していたらしい。ヨーロッパの水族館に歯の化石が置いてある史上最大のサメの仲間、「メガロドン」。体長13メートルはあったとされている。ざっと城西のビルの高さと同じくらい。こんな物が実際に海を泳いでいたとうのも驚きだが、今はいない。でも、これと同じくらいの他の生き物は今も北極付近の海を泳いでいる。RPGのあるゲームで海の魔物として登場しているのでみなさんも名前は聞いたことあると思う「大王イカ」。毎回死体しか発見されないが最近の記録では体長10メートル、体重1トンもの化け物イカが発見されている。しかしこれも死体だった。泳いでいる大王イカはまだ一度も確認されておらずどこにすんでいるかも分からない。もしかしたら北極から寒流の流れ着くこの日本近海にもいるかもしれない。
 
 また、はるかアフリカの喜望峰付近では何も無い穏やかな日に突然高さ20メートルもの大波が発生する現象(フリークウェイブ)が多発している。実際に日本製の船もそれに遭遇し、先端を粉々にされたことがある。これも発生のメカニズムははっきりとは分からない。
 
 普段私たちが親しんでいる海だが、実際は何にも分かっていない未知の領域なのである。少し注意深くみてみると意外なところに新しい発見があるかもしれない。

J-PRESS 1998年 10月号