城西セミナー城西セミナー

こわ~いお話

 最近日本中で、また恐怖番組が密かに流行している。2~3年前から小説で大ヒットした「リング」。映画にもなり、テレビでも放送されていたこのお話。しかし、元になる小説が発行されたのは結構昔のことらしい。この手の物語が今になって流行するのも世紀末のせいだろうか。しかし、この手のお話は何も今だけに限って流行しているものではない。私がちょうど中学生のときにも日本中で大流行して、地域によっては「禁止例」まで出た遊びがある。「きちんと後始末をしないと・・・」とか、「きつねに・・・」とかホントか嘘かも分からない噂話もあとを絶たず。みんなもおそらく知っているし、お父さんやお母さんも必ず一度は聞いたことがある。実は自分もやっていたとか・・・。
 
 こういったあまり喜ばしくない遊びは大昔からいろいろとあるらしい。まだ私たちが小さかった頃、「かごめかごめ」という遊びがあった。真後ろにいる人を当てるという単純な遊びだ。その頃は何のためらいも無くただ遊んでいた。ただ、この詞に少し問題があるという。知っている人はこの詩を思い出してもらいたい。「夜明けの晩に」「後ろの正面」などはあまりに有名なもの。これを歌ったからどうなるということはないと思うが(現に私も何の変わりも無く大人になっている)、いわれてみるとおかしな詞である。夜が明けたら朝だろう。後ろの正面は自分のはずである。鶴と亀は昔からおめでたいもの。それが滑るとは何と不吉なことか etc。
 
 昔からあった遊びの中に、こんな詞が入っていることを考えると、この歌の作られた時にも、この手の話が流行していたのかもしれない。
 
 また、「リング」の内容は、呪いのビデオを見ると死ぬというものだが、昔には、不幸の手紙というものが実際にあった。死ぬとかいったタチの悪いものではなかったと思うが、何か不幸があるらしい。
 
 どんな話でも流行にしてしまうあたり現在の情報量はすさまじいものがあると思うが、昔の話を知っている者から見ると本当に大丈夫かと思ってしまうのも事実である。実際私の同級生は、中学生の時にしばらく入院した者もいた。原因等は当然分からない。ただ、神社で「禁止された遊び」をしただけなのに・・・。
 
 物事にはいろんな解釈の仕方がある。どれが正しくてどれが間違っているとは一言では言えないだろう。しかし、面白半分で足を踏み入れて取り返しのつかないことになってからでは遅いこともある。実はテレビを見ているあなた達も、すでに足を踏み入れているかもしれない。
 
 今、そんなことはないと鼻で笑ったあなたがいちばん危ない。

J-PRESS 1999年 4月号