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おはよう、フェルプス君
石川

 【お願い】今回は、古い話題が多いので、分からないところはお父さんやお母さんに聞いてください。
 
 「M:I-2」(Mission:Impossible2)が公開されていますが、もう見ました?
 
 この映画の主役は、ハリウッドの人気俳優トム・クルーズですが、彼は何語をしゃべっているでしょう? 当然英語ですよね。
 
 彼の出世作「トップ・ガン」の中で相棒役を演じていたのが、アンソニー・エドワーズ。最近ではTVドラマ「ER」のDr.グリーン役で有名です。でも「トップ・ガン」の頃と「ER」とでは、かなり印象が違うので、初めて見たとき同一人物だとは気付きませんでした。ここで不思議な現象が起こります。「トップ・ガン」でのアンソニー・エドワーズは英語をしゃべっていますが、「ER」での彼は日本語をしゃべっているのです。
 
 「あたりまえじゃないか、吹き替えだもの」と思うでしょう? でも、自分の中でのDr.グリーンは日本語しかしゃべらないのです。英語音声だと「こんな変な声じゃない」と違和感すら覚えます。こちらが本人の声なのに。
 
 でも「トップ・ガン」で英語をしゃべっている彼に違和感はありません。
 
 どうやら自分の場合、最初に見たときの印象で声のイメージが決まってしまうようです。
 
 ですから、自分のイメージの中では日本語をしゃべっている外国の役者さんが大勢います。例えば、ジャッキー・チェンは石丸博也、クリント・イーストウッドは山田康雄、「刑事コロンボ」は小池朝雄、「スタートレック」のウイリアム・シャトナーは矢島正明、「M:I-2」の原作「スパイ大作戦」のピーター・グレイヴスは若山弦蔵の声でしゃべっています。他の声は考えられません。あ、いや、コロンボが石田太郎に変わったときだけは、あまりの違和感の無さに鳥肌モノでしたっけ。
 
 最近は、吹き替えの映画やドラマも減りましたが、上手な人が演じる吹き替えには独自の良さがあります。機会があればTVやビデオなどで色々探してみてください。中には「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のマイケル・J・フォックスを織田裕二が吹き替えたもののように散々なのもありますけど。
 
 海外ドラマの登場人物が流暢に日本語を話している方が不自然なはずなのに、最初から吹き替えで観てしまうと自然に感じてしまうことを思うと、やっぱり人物のイメージは第一印象が大切なんだと思わされます。
 
 ところで、「M:I-2」は面白いのですが、ひとつだけ納得いかないことがあります。ミッションの指令を伝える声が、大平透じゃないのです。

J-PRESS 2000年 9月号