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今年の夏は
木村

 今年も夏がやってきました。みなさんはどんな夏を過ごしていますか。高校生の頃は、期末試験が終わると補習時間割りになり、毎日が土曜日のような、なんとなく楽しい毎日でした。今では、夏といえば夏期講習、「暑い暑い」と言いながらもエアコンの下で仕事をしています。今年もそんな夏期講習の真っ只中ですが、ふとしたきっかけで、忘れかかっている夏らしさに目を向けてみようと思っています。
 
 先日、友だちと話していて、「わかったよ、じゃベビーカステラ買ってあげる、七夕のときね」と言われました。七夕?七夕なんて、夏期講習のこの時期に毎年目にする光景です。なのに最近の七夕といえば、講習会のさなかに「城西さんからも何人か出て」と言われて汗だくでお手伝いをするくらい、そして「車、通れるかな」と交通規制を気にする始末です。街ではいよいよ七夕の準備が始まりました。今年もまた、短冊を書いて飾り付けをしたり、ストリートバスケットがあったり、いつもとかわらない光景が見られるのでしょうね。「ベビーカステラを」の一言がなかったら当たり前に過ぎていたはずの七夕を、今年は私も街なかに出て、楽しんでみようと思います。そういえばつい最近も、「ねえねえ、ユカタ何色?」「おれ明日までにアフロ完成せんなん!」と高校生たちが話してましたっけ・・・。
 
 小中高と私の家にはエアコンがなく、友だちの家の涼しい部屋で遊んだり、お店や図書館のエアコンの前にずっと立ってたりしたものです。一度つけるとなかなかそこから離れられず、今ではエアコンの下で仕事をし、エアコンの効いた車で移動し、エアコンをつけたままたっぷり布団を着て寝る、そんな毎日を送っています。長い間、扇風機をつけたりウチワで扇いだり、汗だくになって何かをすることがありません。今年の夏は少しだけ、エアコンを止めて窓を開け、涼のものを食べ、外を歩いてみようと思います。もしかしたら、「スイカを食べる(注:j-press 7月号)」こと以外にも、なくしてしまった大切なものが見つかるかもしれません。

J-PRESS 2001年 8月号