城西セミナー城西セミナー

大学入試
木村

 ある日の城西セミナー、授業中の先生と生徒の会話。
 
「メガネ、持ってるんならかければ?」
「えぇ?だってマジメやと思われるもん」
 
と、この生徒は机の上にメガネを置き、自分が当てられたときや、解答を写すときだけメガネをかけていました。1日中かけろという訳でもないのに、授業中にさえメガネをかけることがマジメになるのです。それから「マジメな人」などと判断され、そして嫌われる...?ついにマジメが嫌われる時代の到来です。みんなと同じようにしないといけない、がんばるのは格好悪い、行ける高校へ行けばいい、夢なんて言葉はナンセンス。そんな殺伐とした状況に納得できずこのようなことを書く自分は、すでに時代遅れです。
 
 例えば、成績のいい人が嫌われるわけではなく、様々な能力のある人が嫌われるわけでもなさそうです。成績をよくしようと努力することや、何かを成し遂げようと泥臭くがんばることが格好悪いことで、何事にも冷静でスマートなのが格好がいいようです。そうやって格好よくできる人はそうすればいい、でも、いかに自分に能力があるからとはいえ、下手くそな人たちを格好悪いなどと蔑んだり、見下したりするようなことがあってはならないと思います。そんな「格好のいい」人や、努力もせずただラクをしたいだけの人に、志望高校のレベルを下げたことに悔しくて涙する中学生や、自分も辛いのに試験前に苦しんでいる友だちを懸命に励ます高校生、辛くてたまらない、必死になっている人たちを評価する資格はありません。
 
 先日、大学入試センター試験がありました。この日のために、多くの受験生は自らを律し、日々勉強という努力を重ねます。しかし試験問題は年々難化し、来年からは科目数も増えます。高校入試をラクして済ませた受験生も、「ラクして入れる」ところのない大学入試を目前にして、ようやく苦しんでいます。それでも格好よくできる人はそうすればいい、しかしスマートに「格好よく」勉強ができないからといって諦めてしまう人よりも、泥臭くがんばった人のほうがずっと輝いていて評価に値します。点数や偏差値ではない、努力する姿はいつの時代も美しいものです。
 
 春はすぐそこです。
 
 がんばれ、受験生!

J-PRESS 2003年 2月号