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ひとり暮らしはどうですか?
木村

 春本番ですね。外は連日20℃を越えて、暖かい毎日が続いています。春といえば新生活の季節です。新入学生や新社会人の人たちは環境が新しくなり、学校ではクラスが新しくなり、歓送迎会の季節でもあります。高校を卒業して大学へ進学した人たちは、親元を離れてひとり暮らしを始めた人も多いと思います。ひとり暮らし、私のときはゴミ出しが最大の難関でした。ふつうのゴミは早起きして所定の場所に出せば問題ないのですが、不燃物ゴミは決まって近所の当番の人の検閲を受け、高い確率でチェックが入り、「あれはちがう」「これはこの袋」と朝から一大行事へと発展します。ただでさえ夜型生活を送っていて、時間ギリギリに起きては寝間着のまま外へ出るのに、そこで友だちや知り合いに会った時には最悪です。食事や洗濯が大変と思ったことはありませんが、「ひとり暮らしどうだった?」と聞かれると、まず口をついて出るのがこの「ゴミ出し」のことです。
 
 大学生といえば、高校時代にいつも一緒にいた友だちのほとんどが東京の大学へ行きました。おかげで、大学時代の私のGWや夏休みなどは、決まって仲間と東京で集結しました。家賃の高い東京でも、みんな1ヶ月6,000円ぐらいの寮にいたり、家賃30,000円のボロ、いや「古」アパートにいる者ばかりです。寮は3畳間でしたが、学年が上がるにつれて、4畳半、6畳とアップグレードします。もちろんトイレは共同、お風呂は近くの銭湯、1個口のガスコンロはあるけれど換気扇がないので、お湯を沸かす以外に使うことはありません。6畳とはいえ江戸間は少し狭く、暑い夏は窓を開けて、扇風機をつけたまま5~6人でザコ寝をして何日も泊まっていました。そのうち「エアコン買ったよ」というので行ってみると、工事のいらない窓型もので、自分で取り付けたのがうまくいかず、ぜんぜん効果がありませんでした。しかしエアコンの効かないボロ、いや「古」アパートでは、なかなか楽しい時間を過ごしました。連日、12時で閉まる銭湯へ行くのに、11時半ごろバイトから帰ってくる1人を待って急いで銭湯へ走り、それからコンビニでお酒を購入し、1時ごろから宴会が始まりました。気付くといつも小柳ルミ子の「瀬戸の花嫁」に合わせて「しぶや、はらじゅく~」と、山手線を一周する「山手線音頭(オリジナル)」をうたっていました。大学生はバカだなぁ~と、この歌とともによく思い出します。
 
 ひとり暮らしを始める話を聞くたびに、「あぁあの楽しい4年間が始まるんだ」と、聞いている私まで楽しい気持ちになります。ひとりで大変なこともあると思いますが、今しかできないこんなバカなことを、存分に楽しんでほしいですね。それにしても、ほんとバカだったなぁ。

J-PRESS 2004年 5月号