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プロ野球人
木村

 イチロー選手のメジャー最多安打記録が目前に迫ってきました。この文書が皆さんのお手元に届く頃にはもう記録を達成しているかもしれませんね。ここ1ヶ月ほど私の周囲では、毎日のように「今日は4本打ったって」「2試合ノーヒットだねぇ」と、彼のヒット数が話題にのぼっています。彼が日米通算2,000本安打を達成したときのインタビューで、印象に残っているものがあります。「日本では数字ばかりが独り歩きして、ぼくの野球を見てくれない。アメリカのお客さんは数字ではなく、ぼくの野球を見てくれている(言葉遣いは多少異なります)」。確かに、彼のインタビューでは「見せる野球」といった言葉をよく聞くように思います。走塁や守備をわざと遅くしてクロスプレーになり、「そのほうが、見ている人もおもしろいでしょ」なんて言ったりします。まあ、どこまでが本気なのかわかりませんが。「あと10試合、あと10安打(文書作成日現在)」、今となっては、アメリカでも数字が独り歩きしていることと思います。
 
 私は小・中学校の5年間、野球をしていました。中学校といっても野球部ではありませんが。守備はファースト、単に「よく球が回ってくる」という理由だけで、始めたときからファーストを志望しました。しかし、初めはショートバンドをよく取り損ねて、練習ではいつもサードやショートがわざとこの「ショーバン」を投げてきました。それで体のあちこちにボールを受けましたが、おかげで2年目には守備は完璧になりました。打順は7番、いや、ときどき8番に降格、決して上手とはいえない選手でした。中学2年生のときに、「もう野球なんかダメダメ、これからは勉強」と、親に辞めさせられたのも無理はありません。それでも、小学校下の大会で優勝して、高岡市の大会で城光寺へ2回行きました。うち1回は、メイン球場に出ることなくサブグランドで負けてしまいましたけれど。
 
 さておき、日本にいたときから、イチロー選手の練習熱心さは有名でしたね。おそらく才能もタグイマレなものだと思いますが、その上に努力を重ねて今の彼があるわけです。「プロフェッショナル」とは「知的職業に従事している、専門職の」といったような意味だそうで、その職を生業にしている人を指していうこともありますね。「他人に秀でた才能のある人が、他人に秀でた努力をして、結果を出して初めてプロといえる」という意見も昔からよく聞きます(「他人に秀でたものよりも、身近に感じられるほうが売れる」といった世界もあるようですが)。まさに彼のような人がプロの野球人ですね。塾の先生を生業としている私はというと。。。

J-PRESS 2004年 10月号