私は「高さ」で考えた石黒
10月29日(金曜日)、Y新聞朝刊に折り込まれてきたチラシは13枚。「野菜高騰、原価奉仕!」とキャッチコピーが踊る食品スーパー、「最先端素材を活用、3日間限定!」がすっかりお馴染みのアパレル、「総額3490円お徳」なクーポンどっさりのハンバーガーショップ、日用雑貨、スポーツ用品に自動車ディーラー・・・総重量130gがずっしり重い。造詣が深い人々は、「●曜日には■のチラシが入るから購入はその時点で」と、賢明な消費行動を折込チラシの週間スケジュールを考慮しながら決定している模様。
郊外にある大型ホームセンターがフロアーの一部のリニューアルを断行。改装オープニングセールの巨大なチラシに誘われ、目玉商品を目当てに仕事を抜け出し訪れてみた。入店するも目立った変化が見つからない、照明やディスプレーがわずかにハイカラになり、サービスカウンターの場所が移動したくらい。部門別の商品配置、取扱商品の種類・数量、無論スタッフの制服も以前のまま。一般的な顧客はもちろん勤務時間の短いパートタイム従業員でも、「2日間も休業して何がリニューアルだ!?」とつぶやく。
郊外型ショッピングゾーンをも圧倒する意気込みで、JR高岡駅前に期待の複合施設が誕生して早や7ヶ月。市民が畏敬の念で見上げる14階建てのビルは、連絡通路で駅駐車場と結ばれる。建物には高校、図書館、生涯学習センター、旅行代理店が入り、多くの市民・学生の利便性を高め、230余室を擁するビジネスホテルや飲食店は、大勢の顧客を出迎る毎日が続いている。教室の窓からは威風堂々とした高層の百貨店、住宅、ホテルが威容を競い、ここ数年の市街地再開発の確実な進捗状況が体感できる。
バンコク郊外、小高いリゾート地に建つ高層コンドミニアムに住む学友は、最近田舎町に土地を購入。かねてからの夢であったランナータイ様式の住居の完成を心待ちにしている。真っ青な水平線まで続く海が視界に飛び込んでくる2LDKの角部屋は、隣に住むRUDOLF氏(ドイツ出身)に安価で譲るとのこと。理由を聞いた。「狭いLIFT(エレベーター)で上下する毎日はつまらない。LOW RISE(低層)の家なら、庭の草木を眺めながら近所に住むタイの人々ともっと交流できる。そこいらを歩いている犬や猫とも友達になれるっていいと思わない!?」
郊外の大型ホームセンターで1時間が経過。初めて気付く、「あっ!」。陳列棚が以前に比べ随分低くなり威圧感が軽減、ディスカウンター特有のダンボール箱の山積み、高所の派手なディスプレーも姿を消していた。久しぶりの疲労感の無い快適な買い物。バーコードを読み取る女性従業員の表情が以前より柔和に思えた。