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シはシカクのシ
石川

 シカクといえば内角の和が360°、という話ではなく…
 
 シカクといえば今回誰も入閣しなかったなぁ、という話でもなく…
 
 「列島縦断 鉄道乗りつくしの旅 JR全線20000km走破」という番組がNHKのBS hiで放送されています。内容はタイトル通りで、『衝撃の結果は60秒後!』なんて劇的な展開があるわけでもない、ほのぼのとした番組なんですが、ついつい毎日見ています。そして、グイグイ惹きこまれるような内容ではないだけに、画面に映らないところまで考える余裕が生まれます。
 例えば、とある駅で地元の人が旅人に「一人で大変ですねぇ」と声をかけていました。でも、旅をしている様子がテレビで放送されるということは、撮影するカメラマンが一緒にいる、ということです。孤独な一人旅に見えても、画面に映らないところでは旅人とスタッフで盛り上がって意外とにぎやかな旅かも、なんて考えると印象も変わってきます。
 
 でも、視聴者はカメラマンの存在を意識しませんし、またカメラマンも意識されてはいけない、完全な死角です。
 
 台風の現地レポートでも、レポータが飛ばされそうになって台風のすさまじさを伝えていますが、撮影するカメラマンを意識する人は少ないはずです。しかし、レポータが飛ばされそうになるぐらいの暴風なら、カメラマンだって飛ばされそうになって、もっと画面が揺れるはず。映像が派手な割に画面が揺れていない場合、実際はそれほど風が強くないという話もあるとかないとか。
 
 「リサイクル」という言葉、よく耳にします。環境保護にはリサイクル! でも、本当にそうでしょうか? 視点を変えてみましょう。次々と新しいものを作ってリサイクルするより、ひとつの物を大切に長く使うほうが、環境に対する負担は確実に小さくなります。ではなぜリサイクル? みんながひとつの物を長く使うと新しいものが売れなくなります。そうすると困る人たちが…
 
 試験の答案が返ってくると、大きな赤い数字に目が行きます。「80」ならば「まぁ良し」、「60」だったらイマイチ? でも、「80」や「60」ではなく、そこに隠れた「-20」や「-40」こそ大切では?
 
 見えない部分に重要な情報が含まれている場合もあります。視点を変え、死角を視角に入れることで新しい発見があるかもしれません。

J-PRESS 2005年 11月号