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ウォークマン世代
木村

 「アイポッド、3万円引きでーす!」
 
 9月はじめの秋葉原には、いたるところに大小様々な白と黒のiPodが並んでいました。アップル社の製品にはほとんど値引きがないそうで、量販店でもせいぜいポイント還元ぐらい。「え、3万円?」と立ち止まってよく見ると、いやいや、特定のインターネットプロバイダを新規に契約すればの話でした。新しい機種が発売になる時期でもあったので、ひとつ前のものが安くなったのかとも思ったのですが、3万円引きなんて甘い話はありませんでした。
 
 携帯型音楽プレーヤは、中学生や高校生がよく利用するアイテムのひとつです。塾の高校生もときどき、授業の前や休憩時間に利用しています。中には、白色のヘッドホンでMDを聞きながら、(iPodのヘッドホンが白いことから)「アイポッド風」などと言っている子もいれば、反対に、黒色のものに変えて「アイポッドだとさとられないように」なんて話している子もいました。本体の色については、「クラスでは白のほうが多い」とか、何かと話題になっていました。
 
 私が中学生の頃の携帯型プレーヤは、カセットテープを聴くことのできるものでした。いわゆるウォークマンのことです。「ウォークマン」の名称はソニー製の製品に付けられているもので、その後、本体が小さくなったり、録音ができたりバッテリーが長持ちしたりと、同社のものは携帯型カセットプレーヤを先導しました。CDウォークマン、そしてMDの登場後も、ウォークマンの名前は、携帯型プレーヤの代名詞のように使われました。
 
 ここ数年、携帯型プレーヤはパソコンなどから音楽ファイルを転送するものが全盛を迎えています。最初は6~7万円だったiPodも今や3~4万円、小型のiPod nanoは1~2万円と手頃な値段にまで下がりました。記録できる容量が大きくなり、カラー液晶が搭載されて動画を視聴することもでき、性能はどんどんよくなっています。また、関連商品でも、カーステレオにiPodを接続して直接操作をしたり、家庭用のレコーダにiPodの形式で直接録画をしたり、「iPod対応」を謳ったものが出回っています。そして、プロバイダの契約や新車購入時の景品にまで。かつての「ウォークマン」に代わり、いずれ「アイポッド」が携帯型音楽プレーヤの代名詞のようになるのでしょうか。
 
 今月のコラムは、まるで「デジタルなんとか」という雑誌の1ページのようになってしまいました。・・・私が5年ほど前に購入したiPodは、その後の急速な進化によって、もはや化石のようになっています・・・。
 
※生徒の皆さんへ
大音量での視聴や、自転車に乗りながらの視聴は、たいへん危険ですのでおやめください。

J-PRESS 2006年 10月号