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週末
木村

 土曜の夜は「ブロードキャスター」「チューボーですよ」、日曜の夜は「笑点」「スタメン」「堂本兄弟」、月曜の夜は「スマスマ」「あいのり」。週末に決まって見ている番組です。いや、真剣に見ているわけではなく、なんとなく流れているのですが、「未来の巨匠」と聞こえると今週も終わり、「地球一週ラブワゴンの旅」と聞こえると翌日からまた仕事です。中学生・高校生の頃はほとんどテレビを見ることもなく、どんな番組、どんなCMが流れ、誰が出ているのかも全く知らなかったのですが、いつの間にか、週末はテレビ番組とともにあります。
 
 そのスマスマに、イギリス人俳優のジュード・ロウ(Jude Law)が出ていました。「日本食を食べるためにまた日本に来たよ」「今度、一緒にサーフィンでもしようよ。ハワイでいいかい?」(戸田奈津子さんの通訳)なんて派手な会話をしていました。私は1997年の映画「ガタカ」以来、ずっと彼の作品をチェックしていますが、久しぶりに見た彼は相変わらずイイ男でした。
 
 ハワイといえば、ジュード・ロウといえば、ずいぶん前にハワイで映画を観ました。滞在していたワイキキから、市バス“The Bus”に乗って、ゴルフコースもある高級住宅地カハラ地区まで行きました。ショッピング・モールで「映画でも観ようかな」ということで、実は日本語字幕のないことに気付かずに映画館へ入り、ジュード・ロウが出ているという理由だけで「リプリー(原題:The Talented Mr. Ripley)」を選びました。「おぉ、これがアメリカの映画館か」と田舎者丸出しで喜んでいたのも束の間、本編が始まるや否や、字幕がなくてさっぱりわからないことに気付きました。ハリウッドのハチャメチャ映画ならまだ内容も理解しやすかったのでしょうけれど、でも、サスペンスものだったので終始笑うこともなく、何事もなかったような涼しい顔で映画館を後にしました。
 
 先日、高校の後輩の子が転職をしました。それまでは「土日もあまり関係なく、休みが不定期で」などと言っていたのですが、新しい仕事は休日が決まっていて、初めての連休に、大学時代を過ごした東京へ。「久しぶりの開放感に、アドレナリンが出まくりです」なんて話していました。社会人である今だからこそ、そのような「気分転換」が必要ですね。毎週決まったテレビ番組を見て「あぁ、また今週も」なんて言っている場合ではありません。映画を次々と見漁っていたり、市バスに乗って知らない町を歩いた頃のような、アドレナリンの出ることに挑戦しなければ。この時期、高校入試や大学入試が終わり新しい生活を始める皆さんから、私もエネルギーをもらっています。

J-PRESS 2007年 4月号