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「捨てる」の作法
深田

 先日、8年ぶりに引っ越しをしました。引っ越しすることが決まった後、公的機関などへの必要な手続きについてはチェックリストを作成。大きなトラブルもなく順調に進行しました。
 
 一方、せっかくタイムスケジュールを作ったのに予想以上に時間を費やしたのが荷造りでした。
 「さあ、きょうは机の整理をするぞ」と、引出し1つを片づけ始める。すると、なぜか大学時代の成績証明書やずいぶん昔に撮って未整理のスナップ写真が出てくるのです。
 ここで作業は一時中断。
 
 「どうして・・・」「あの時は・・・」あれやこれやと考えているうちにあっという間に時間は過ぎていきます。
 たんすの中で見つけた「サイズが合わないのにまだ着られると思っている洋服」、台所の奥にしまわれていた「1回だけ使った友人の結婚式でもらった鍋」などと出会うたびに同じ事の繰り返しです。
 これらのものをすべてダンボール箱に詰めて引っ越し先へ持っていき、改めて収納場所を決めて片づけるのは、物理的・時間的・体力的に無理だと判断するに至りました。引っ越しをきっかけに「目指せ、シンプルライフ!」
 「持っていて楽しくないもの、見ていてシアワセを感じないもの」は思い切って処分する(捨てる・あげる・売る)ことにしたのです。
 
 高かったけど痛くて履けない靴
 洗濯物置き場になっているソファ
 使ったことのない客用座布団
 棚のすみに置きっ放しの本
 最近聴いていないCDやカセット
 観光地で買ったヘンな置物
 もらったが使っていない食器
 冷蔵庫の奥の調味料
 2年以上前の年賀状
 
 「もったいない」精神を発揮していろいろ貯め込むような生活をしているという意識はありませんでした。でもいつの間にか、あまり必要とはいえない「モノ」に取り囲まれていたようです。
 
 今回の引っ越しで、高岡市の環境クリーン工場へ3度、合計200㎏の『ゴミ』を持ち込み、リサイクルショップの店長とは顔見知りになりました。
 もちろん何でも捨ててしまえばよいというわけではありません。けれども新たな余裕が生まれ、気持ちがスッキリした部分もあるように思います。みなさんも、今の暮らしをほんの少し身軽にしてみませんか。
 
 「一度にドカンと捨てるのは無理」「全部広げて、取捨選択するスペースがない」という声が聞こえてきそうです。
 まずは、毎日の生活の中で、気づいたときに1個ずつ、捨ててみてはどうでしょう。ちりも積もれば山、山は崩せば小さなごみ1個。
 
 「捨てるコツ」を身につけるとだんだんとからだの動きが軽くなり、頭の働きもスムーズになるかもしれません。

J-PRESS 2007年 7月号