私は「招待券」で考えた石黒
休日の早朝、携帯電話の着信音で起床。姉から、「チューリップフェアの招待券いる!?」との電話。聞けば市民サービスの一環として、市が発行する広報誌に一戸あたり2枚の招待券が添付されるとのこと。ディスカウントならいざ知らず無料とならば二つ返事、早速会場へと向かう。メイン会場周辺は平日の午前中にも関わらず大渋滞、県内外のナンバーを付けた車が数少ない駐車場を奪い合う地獄絵図。
砂利を敷いただけの臨時駐車場に滑り込む。管理人のおばちゃんが、「大変だったでしょ、朝からこんな調子。県外から来る人なんてもうぐったり、おまけに駐車場の掲示も少ないって怒り出す始末。ここから会場まで歩いて10分なんて言い出せなくて」。料金500円を前払い、田植えを待つ田んぼを横目に、整然と舗装された農道を歩く。民家の庭先のチューリップも満開、どこからとも無くチューリップの甘い香りがほのかに漂ってくる。
「イー、アール、サンッ(中国語)」、「ハナ、トゥル、セッ(韓国語)」。フェア会場は多様な言語が飛び交い、出店のエスニック料理店と相まって国際色を深める。1割が外国からの観光客、富山空港や中部、関西などの国際空港から入り、立山黒部アルペンルート、兼六園、和倉温泉などを周遊するのであろう。城西セミナー前の通りでも外国からの観光客が目立つ。「高岡大仏はどこですか」、流暢な日本語や英語で質問される今日この頃。
ガイドブック片手の外国人、近くの都市型ホテル、JR高岡駅や御旅屋通り方面から高岡大仏を目指す。申合わせたように眼は誘導看板を探している。無い!正確には英語表記の看板が少な過ぎる。高岡駅から末広町を通って歩いてみる。駅舎を出てすぐ「駅前地下街入口」と漢字で書かれた看板、地下街の突き当たりに一枚「Takaoka Daibutsu →」。地下道出口、タクシー会社前、大和前交差点、小さなアルファベットが付記される。
高岡を訪れる外国人観光客は滞在時間が少なく、消費活動も低迷。高岡駅では、informationと書かれた案内所のパンフレットのほとんどが日本語表記。駅構内の案内図、発着を示す電光掲示板、氷見・城端線の料金表示も同様であり、英語対応の自動券売機が数台あるのみ。自治体のHP(英語版)は旧名古屋空港を掲載したまま放置、物販店の案内スタッフ、交通機関(タクシー、バス、路面電車)のスキルアップも一向に進まない。
大仏寺の境内には、英、中、韓、露、ポの五カ国語で、大仏の由来が詳しく書かれた掲示板がある。近くの都市型ホテルでは英語対応が可能になっている。海の彼方に住む友人達に、「高岡大仏、見に来ないか」と招待券を出せる日はそう遠くないのかもしれない。