「コロッケ」の作法深田
高岡は『コロッケ』の街だそうだ。1人あたりのコロッケ消費量は全国でも1、2位を争っているらしい。
高岡コロッケの代表商品「高岡大仏コロッケ」は、道の駅「万葉の里高岡」で人気を博し、今年4月からは大手コンビニエンスストアLの北陸3県各店で「高岡大仏コロッケ弁当」が発売された。さらに中部9県、近畿2府4県へと販売地域を拡大させている。
市内の飲食店では具材に工夫を凝らした新メニューが誕生したり、駅地下街にはコロッケを製造販売する店舗がオープンするなど、コロッケを利用した地域活性化の動きが進んでいる。今後も全国各地にコロッケの街・高岡がアピールされていくことは、高岡に生まれ育った私にとってもうれしいことだ。
ところで、私自身にとっての『コロッケ』はというと。
記憶は小学生にまでさかのぼる。その頃はコンビニは当然、スーパーマーケットもなかった。したがって、コロッケを購入するのは近所のお肉屋さんということになる。
おやつを買いに駄菓子屋に向かう。「何を買おうか」考えながら駄菓子屋に近づく。すると、隣の肉屋から揚げ物を揚げているいい香りがしてくる(近所の商店街では駄菓子屋の隣が肉屋だったのだ)。特におなかがすいているときには、「パラソルチョコにしようかラムネにしようか、ふ菓子もいいな」という気持ちがいっぺんにどこかに行ってしまう。次の瞬間には肉屋のおばちゃんに「コロッケ1個」または「ハムフライ1枚」と注文している。
しばしの待ち時間があり、おばちゃんが小さな紙袋に入れてくれたコロッケを受け取ると、小走りに近くの児童公園へ。
ブランコに腰かけ、アツアツを一口。
まず感じるのはコロモのトゲトゲ感。霜柱のようにホロホロとくずれていく快感。
次にやってくるのが、茹でたじゃがいもの味と香り。そして、口の中でコロモの味とじゃがいもの味が混合される。
一口を飲みこんだあとに残る、口中ににじんでいるラードの余韻。
これらを数回くり返して、至福のおやつタイムが終了。
子供の私にとってコロッケはおやつだったのだ。
コロッケを使ったメニューをひとつ。
「コロッケ丼」
丼に熱いご飯を入れ、バターを薄く敷きつめる。その上からお醤油を適量。その上にあったかいコロッケを2個のせる。
食べる時には、コロッケを箸で突きくずす。そこへウスターソースとケチャップを混ぜたものをかけまわす。
バター混じりの醤油ご飯と、ソース混じりのコロッケがあいまって、なかなかいい味になる。
この「コロッケ丼」のおかずにはコロッケが合う。