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「免疫力」を高めよう
深田

 5月16日に新型インフルエンザの国内感染者が初めて見つかったとの報道があり、その後も各地で感染が確認されています。弱毒性であまり心配する必要はないとの見方もあるようですが、今後どのような変化が表れるかわかりません。かからずに済むのであれば、それにこしたことはありません。「手洗いやうがいを励行する」「マスクをつける」「人ごみを避ける」などの対策が有効です。
 
 インフルエンザに限らず病気にかかりにくい健康体を作ることも重要です。
 
 私たちの周りには細菌やウイルスなどの病原体が多数存在していて、外界に接している部分である鼻、口、目、皮膚といった器官はいつでも病原体に接触する可能性があります。
 
 しかし、人の体には、ウイルスなどの病原体が入ってきたときには、それらを異物とみなして排除し、からだを病気から守ろうという働きが備わっています。このような仕組みを「疫(病気)を免れること」すなわち免疫といいます。毎日の健康維持には、免疫力を正常に保ち、さらに高めることで、病気に負けない健康な体を作ることが大切です。
 
 免疫力を高めるには、まず食生活が肝心です。炭水化物・タンパク質・脂質の三大栄養素をバランスよく摂ることはもちろんですが、同時に大事なのがビタミンの摂取。なかでも粘膜を強化するビタミンA、不足すると口内炎などの原因となるビタミンB群は欠かせません。さらにビフィズス菌などの乳酸菌は、腸内環境を整えて免疫システムをうまく働かせます。きのこ類に含まれるβ-グルカンも免疫力を高めるといわれています。
 
 自然免疫の力は生活習慣とも深く関わっています。なかでもストレスは自律神経のバランスを崩し、免疫力低下につながるといわれています。好きな音楽を聴く、趣味の時間を持つなど自分なりのストレス発散法を見つけて、リラックスした気分になりましょう。
 
 十分な睡眠時間を確保し、質のよい眠りをとることも重要です。よく眠れた朝に気分よく目覚められるのは、脳がリフレッシュされ、免疫細胞が活性化しているからです。
 
 また、最近注目されているのが「笑い」と免疫力の関係です。落語で笑った後に測定したら免疫力が高くなっていた、という実験報告もあるようです。
 
 バランスのよい食事を摂り、趣味やスポーツなどを取り入れたメリハリのきいた生活、そして大いに笑うこと。それが病気に負けない免疫力の高いからだ作りの基本です。
 
(北海道大学 西村孝司教授の文章を参考にさせていただきました。)

J-PRESS 2009年 6月号