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サは錯覚のサ
石川

 スナフキン氏は「ぼくは、自分の目で見たものしか信じない。そのかわり、この目で見たものは、どんなに馬鹿げたものでも信じるよ」と語っています。
 
 村上春樹氏はエルサレム賞の授賞式で「小説家というのは、自分の目で見たり自分の手で触れたりしたものしか信じません」とスピーチしました。
 
 たしかに、自分の目で見たものは信用したくなります。でも、みなさんは自分の目を本当に信用できますか?
 

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 例えば図1はグルグル、図2はウネウネ動いて見えませんか? 図3の横線は傾いて、図4のマス目は歪んで見えませんか? でも、図1・2は静止していますし、図3の横線は平行で、図4のマス目は全て正方形です。
 
 逆に、自分の目で見なくても信用できることはたくさんあります。地球が太陽の周りを回っていることは信用できますよね? 多くの観測の結果、疑いようの無い科学的裏づけがあるからです。
 
 人間には目に見えないことを想像する能力があります。聞くところによれば、この能力は人間や一部の類人猿、そしてイルカなど大脳が発達した動物にしかないと考えられているそうです。
 
 自分の目でよく見て、見えないものは想像力で補い、見えたものも理性で疑って確かめるようにすれば、世界はもう少しくっきり見えるかもしれません。
 
 え? 今月のコラムは図ばかりで文字数が少ない? きっと錯覚ですよ。

J-PRESS 2009年 9月号