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How to make“勝負脳”
田島

 9月の大型連休「シルバーウィーク」。皆さんどのように過ごされましたか。教室で聞いてみると「毎日、部活だよ。」という声(嘆き?)も聞かれました。私はこの機会にと、購入したきりで本棚で眠ったままの本を読んで過ごしました。読書の秋、ですからね。私の場合、食欲の秋なんじゃないの?という声が聞こえてきそうですが…。もちろんそちらも楽しんでいますよ。
 
 今回読んだ本に、『〈勝負脳〉の鍛え方』(林成之著、講談社現代新書)というのがあります。昨年の北京オリンピックで活躍した北島康介選手が言及したことで有名になった本で、著者は「脳低温療法」を開発した脳外科医の第一人者、なんと富山県出身だそうです。富山の方というだけで親近感が湧きます。
 
 勝負脳とは著者の造語で「勝負に勝ちたいと願い、相手を上回る戦略をあれこれと考えること」で、人間の脳に本来備わっている知能の一つを表したものだそうです。脳の働き・仕組みを知ることで自分の弱点を克服でき、勝負脳を鍛えればスポーツだけでなく勉強にも勝てるようになるらしい。ふむふむ、塾講師にも必読の書のようです。
 
 勝負脳を発揮するためには、ライバルに勝とうとするのではなく自己記録の更新にこだわる、常に自己ベストの3割増の力を出そうとする、疲れた、大変だというような否定的な言葉を使わない等々の理論があるようですが、繰り返し主張されているのは他者との比較ではなく自分自身の到達度を高めていくことの重要性です。
 
 人間は必ず目的を達成する習性を持っている。ちょっと信じがたいかもしれませんが、人間の脳にはこんな力があるそうです。著者曰く、この習性を理解して次の3つを守ることができれば、非常に困難だと思われることでも(時間はかかるかもしれないが)必ず達成できる、のだと。
 
 ■目的ではなく目標に集中せよ
 ■目標達成の具体的な方法を明らかにして実行する
 ■目標を達成するまで、その実行を中止しない
 
 それぞれの具体的な内容は割愛しますが、どれもそんなに目新しいことではないと思います。でも、これまで精神論や「~すべき」と語られてきたことが、脳の機能に従ったものなのだと分かると、納得しやすくてスッキリします。人間は必ず目的を達成する習性を持っているとなれば、苦手だなぁ、後回しにしたいなぁ、と思っていることにもやる気が出てきませんか。
 
 さて、私も明日からではなく今日からダイエットに励もうかな。

J-PRESS 2009年 10月号