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フィギュアスケートの思い出
田島

 バンクーバーオリンピックが大盛況のうちに幕を閉じました。皆さんも毎日繰り広げられる熱戦を楽しまれたことと思います。
 
 冬季オリンピックの華は何といってもやはりフィギュアスケート。何を隠そう、実は私、小学生の頃に伊藤みどりがトリプルアクセルを跳んだのを見て以来のフィギュアファン。おかげでリレハンメル五輪は時差をものともせず早朝からテレビ観戦し、長野ではフィリップ・キャンデロロに恋をして、トリノの荒川静香の金メダルは同年代ということもあり自分のことのように嬉しく励まされました。ちなみにキャンデロロはフランスの元代表選手で、「三銃士」のダルタニアンという演目が非常に有名です。某動画サイトで久しぶりにその演技を見たのですがやはりカッコイイ。あのステップはいつ見ても素晴らしい。近年はフィギュアスケート人気も高まりたくさんの試合やショーを放送してくれてありがたい限り。
 
 こんな熱の入りようですので、今回のバンクーバーオリンピックも不謹慎ながら2月後半は長い時間をテレビの前で過ごしました。今大会では高橋大輔選手が銅メダル、浅田真央選手が銀メダル、そして男女シングルに出場した6人全てが入賞という快挙を達成。日本のフィギュアスケート選手層の厚さに驚嘆するとともに、演技の背景にある選手一人ひとりのこれまでの道のりを思うと、涙なくして画面を見ることができませんでした。
 
 自分の出来る最大難度の技に果敢に挑戦していく浅田選手。重圧のなか完璧といえる美しい演技を披露したキム・ヨナ選手。フィクションの世界かと思うような宿命のライバルの対決は凄みさえありました。好敵手の存在とはここまで人を成長させるものなのですね。人の成長といえば、印象的だったのが高橋大輔選手。トリノと同じように4回転でミスがありましたが、その後立て直した演技が素晴らしかった。4年の間に大怪我もし、想像を絶するような苦労を経験したのだと思います。しかし努力は必ず報われる。見事に試練を乗り越えたあとの、清清しい姿をきっと忘れることはないでしょう。
 
 長々と綴ってしまいましたが、この2月はオリンピックをきっかけに自身の学生時代について思いを馳せる時間をたくさん持っていたなと考えつつコラムを書いています。そして思い出したことがもう一つ。中学3年のまさにこの時期、高校受験を目前にして担任の先生から言われた一言です。曰く「人事を尽くして天命を待つ」。つまり、精一杯やって結果は運命に任せる、ということでしょうか。座右の銘のひとつです。努力した過程には必ず良い結果が付いてくると信じています。それはきっと、オリンピック選手にも受験生にも等しく一人ひとりに与えられています。本番まであとわずか。一緒に最後までベストを尽くしましょう。

J-PRESS 2010年 3月号