私は「BMI」で考えた石黒
朝7時、台所で母親が饒舌に捲し立てる、「TVでやってたの、痩せる食べ物の特集。今晩から温野菜に●▲酢をかけた食生活に変えて痩せる…」。69歳、学生時代はバレーボール(9人制)のエース、現在も週2回のビーチバレーの練習を欠かさず県外遠征も。毎日1時間のウォーキング、週1回のヨガ教室にも参加、息子から見ても、頼もしいを超え脅威にも感じることさえ。そんな彼女さえ痩せることに執着させる昨今の健康ブーム、世の中はダイエット食品、運動器具、さらには必ず痩せるDVDで溢れかえる。
社内でBMI(Body Mass Indexの略、世界共通の肥満度の指標。BMI=体重(kg)/身長(m)の2乗)が話題に。自分の数値を計算してみる。25!?しっかり肥満の烙印が。某先生が、「僕は20ちょっとです」、19台の数値をたたき出し誇らしげな者も。聞けば過去に何らかのきっかけで痩せることを決意し、行動(ダイエット)に移し、現在も意識した食生活、適度な運動を実践しているとの事。痩せるノウハウの教授を懇願、「野菜・植物性蛋白質中心、低カロリー食品の選択・摂取、継続的な数値管理」との答えが返って来た。
スーパーに足を運ぶ。購入したい(食べたい)食品を見つける、以前は値段と賞味期限を確認するだけ。それが何と!商品を手にするや否や手首を返し「カロリー表示」を凝視。健康に良いと言われている納豆、豆腐、牛乳さえも厳しくチェック。ノンオイルドレッシングにカロリーが有る事を認識、葛きり、春雨にも。あたかも食品Gメンの如く、微細な数字も見逃ず、「塩分量・脂質」にも細心の注意。陳列棚からの陳列棚へ、買い物かごはこんにゃく、ところてん、レタス、きゅうり、大根、セロリで一杯。青虫にでもなるのか!?
休日の昼食、「カロリー早わかり」を携え気合を入れて台所に立つ。(1)フランスパンのハムサンド、(2)きんぴらごぼう、(3)大根、水菜、セロリのサラダ、(4)ほうれん草、きぬさや、もやしの野菜炒め、(5)豆乳。食欲増進を図り、バジル、コリアンダー、ターメリックを駆使する…。熱量500Kcal弱のランチの完成、田植えの終わった農村風景、庭に遊びに来る野鳥の鳴声、初夏らしい風を感じながら小一時間ゆっくり楽しむ。先日植えたフルーツトマト、ししとう、きゅうり、えだまめが私の水遣りを待っている。彼方の田んぼに近所のお婆ちゃんの姿が…。