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気づかないこと
小野

 知らなければ悩んだり苦しんだりしなかったものを…と思うことがある一方、はやく分かったから大事に至らずに済んだ、ということもあります。
 良いか悪いかは別として、そんな、ええっ?知らなかった!ということを取り上げてみました。
 
 数年前、仕事で腰を痛め生まれて初めて腰部のレントゲン写真を撮りました。骨に異常は無いだろうと思いながら、レントゲン写真を眺めていた医師から最初に出てきた言葉は、「ああ、骨が1個ないね。」
 どういうこと?返す言葉を探しているうちに医師から「尾てい骨と、その上の骨がつながって1つになってる奇形だなあ」「はい、それで…」「腰を痛めやすいかな。まあ、あまり無理しないでね。」結局痛み止めの薬をもらって終わりました。
 日常生活に支障はないものの、30歳を過ぎて初めて自分に奇形があることを知り、ちょっと驚いたというか、感動したというか。
 
 しゃべり方にも人それぞれ特徴があります。芸人がしゃべり方をまねするだけでネタになるくらいですからよほど特徴があるのでしょうが、自分ではなかなか気づきにくいものです。
 
 中学の時、女性の先生が自己紹介で、「私の癖は語尾に「ね」をつけてしまうことなんですね。」と言っていましたが、自覚しながらも「ね」をつけずにはいられなかったみたいです。
 私も授業中に、ワンパターンな言い回しだなと自分でも気づくことがあります。例えば…具体的に書くと生徒から指摘されそうなのでやめておきます。
 
 気づきにくいのが文化や習慣ではないでしょうか。周りの人も同じですから、自覚するのは実に難しいです。
 私の地元の方言で、「たう」(否定形は「たわん」)というのがあります。地元を離れ、友人から変な顔をされるまで標準語だと思っていました。さてどんな意味でしょう。ヒント例文:「そこのリモコン取ってほしいんだけど。だって手がたわんもん。」(答えは最後に)
 
 その国の習慣となるともっと分かりにくいです。まあ、たいていの人にとっては分かる必要もないわけですが。
 どこでも簡単に買える缶ジュース。ふたを開けて飲む。日本ではごく普通のことが、ある国では命に関わる行為になります。それこそどういうこと?ですが、保管状態が悪く缶に危険なばい菌がついていることがあり実際に死亡するケースもあるそうです。缶ジュースを飲むときは洗剤で洗ってから。これが当たり前だとか。
 
 最近はやっている、あたりまえ体操。この体操、海外バージョン作ったらおもしろいのができるかもしれませんね。
 
 (答え:たう=届く)

J-PRESS 2012年 11月号