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時代の流れ
木村

 イオン高岡ショッピングセンターに「HMV」がオープンしました。それまで、タワーレコードが入っていた跡にです。タワーレコードが北陸にやってきたとき、それまで、東京や大阪の大都市にしかなかったお店が入ったということで、音楽好きの私には、なかなか衝撃でした。ただし大都市のそれとは在庫がずいぶん異なりますが。ちなみに、初めてHMVを利用したのは大学生のころ、渋谷店。センター街の奥の奥に、小さな店舗があったのを見つけて入りました。その後、クラシック系の在庫が日本一などといわれた池袋店や新宿店、そしてニューヨークの3つのお店やロンドンの「本店」へも足を運びました。もう十年以上も前のことです。そんな経緯もあって、こんな近くにHMVができたことには思い入れがあります。当時はちょうど、日本でも外資系のCDショップが続々とオープンしていたころ。また、アマゾンなどのネット通販が出始めたころ。「そんなたくさん置いてあっても、買うものはひとつ。ネットで買えば同じ」みたいに言われたこともありましたが、音楽をやっている人間には、やはりお店にずらーりと並んでいるのも見たいものなのです。
 
 CD業界に大きな影響を与えたといわれるのが、iPodの類の出現。CDを買ってもすぐにパソコンに取り込んだり、ダウンロードで楽曲を購入したり、そのころから、レコードショップはだんだん少なくなり、昔、ずらーりと並ぶ商品を見て興奮していたお店は、次々と姿を消していきました。最近、友人から教えてもらったことに、自宅のパソコンに保存してある写真や音楽などのファイルを、出先から直接閲覧、再生できるソフトか何かがあるそうです。スマートフォンを一人一台から、一人が複数台を所有し、毎日どれだけの量のデータを送受信しているのでしょう。時代の流れといえばそれまでですが、毎年毎年思うのですが、便利さばかりを追求して、何か大切なものを失っているような気がしてなりません。
 
 先日、2年ぶりに飛騨高山へ行きました。一番の目的は、前回利用したおみやげ物やさんで、同じ商品を買うこと。「このお店だったかなぁ。そうそう、こんな店構えだった」と思って入ると、なんともやさしげなおばあさんが登場。「実はボク、2年前にこちらで買ったものがほしくて、、」というと、「それはそれは、よう来てくだされた」と、いろいろお話を。ふと手元を見ると、商品をひとつひとつお参りをしてから小袋に入れておられて、「さるぼぼさんには、毎日お参りしておりますから、きっとみなさんお幸せになれますよ」と。お店の商品を本当に大切に思っておられて、何度も「みなさんの幸せを」と話しておられて、なんともやさしい気持ちになりました。来年は何が時代を席巻し、どんな一年になるのでしょう。時代の流れがどうであろうと、おばあちゃん子で育った私は、おみやげ物やさんのおばあさんのように、いつでも人に優しく接することができる人間でありたいですね。「このお店に来て、ほんとによかったです。必ずまた来ます」と言って帰ってきました。

J-PRESS 2012年 12月号