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ラストラン
木村

 「雷鳥」「しらさぎ」「白鳥」「加越」「北越」「はくたか」「白山」「北陸」「日本海」「つるぎ」「能登」「立山」「アルペン」。私が物心ついた頃に、高岡駅を発着していた列車たちです。当時住んでいた自宅のすぐ目の前を北陸本線が通っていたこともあり、これらの列車を頻繁に目にしていました。これらのほとんどが特急なのですが、特急にも「L特急」と「特急」がありました。L特急というのは始発駅を毎時同じ時刻、例えば7:05発、8:05発、9:05発、…というように出発するものだったそうです。また、「北陸」「日本海」「つるぎ」は寝台特急、いわゆるブルートレインと呼ばれるものです。「日本海」は大阪-青森間、青函トンネルができてからは函館まで、多いときは1日2往復運転していました。「北陸」は金沢‐上野間、区間が短くて到着が早朝すぎることから、途中駅での停車時間を長くしたり、スピードを落として走っていたそうです。「つるぎ」は大阪-新潟間の運転で、高岡駅を、いや、富山駅も金沢駅も「通過」する唯一の列車でした。ただ、富山駅や金沢駅には、時刻表上は通過となっていましたが、実際は運転士の交替等のため停車していたそうです。これらの寝台特急、乗車券と特急券の他に、5,000円~10,000円の寝台券が必要な高嶺の花で、私は一度も乗車したことがありません。というか、一度も乗車することがありませんでした。「かがやき」は上越新幹線ができてから、金沢‐長岡間を上越新幹線の乗り継ぎ用に運転されていました。「はくたか」は金沢‐上野間、のちに金沢‐越後湯沢間を新幹線乗り継ぎ用に運転していました。まぁ、これらの名称が北陸新幹線に採用されたわけですね。
 
 2015年3月13日、小さい頃から慣れ親しんできたJR高岡駅が大きく変わる前日。「トワイライトエクスプレス」のラストランに足を運んでみました。朝8時、上りホームの先端には大変な数の人、それに数名の警察官が集まっていました。みんないい大人ですが、きっと私とよく似た思いで集まっているのでしょうね(笑)8時18分の出発時、トワイライトの車掌さんの一人が窓を開けて「高岡のみなさん、さようなら」と言っておられたのが印象的でした。そして帰り際にホームの時刻表を見ながら、「これぜんぶ、なくなるんだよな」といった声が聞こえていました。新高岡駅を行き来する北陸新幹線、高架を静かに走っていくのはかっこいいですね。その様子を見るごとに、時代が変わったんだなぁなんて思ってしまいます(笑)

J-PRESS 2015年 4月号