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知ったかぶり
木村

 前回、写真の師匠たちのことを書いたのはいつだったかなと遡ってみると、『昔とった杵柄』、5年前の2010年12月号でした。その中には、「以前にも書きましたが」「初めてカメラを買ってから20年」などと書かれています。それならとさらに遡り、「以前」とは、2002年5月号、『便利さのかわりに』。初めてカメラを買ってから25年?昨年、その師匠のひとり(といっても私よりひとまわりも年下ですがw)から一眼レフを譲り受け、フルサイズデビューとなりました。これまで、剱や槍、薬師、穂高縦走、何度となく険しい山に登って使いに使い込んだ名機で、それまで私が使っていたものとは比較にならない、圧倒的な画質に驚きました。
 
 「いつかはフルサイズ」、ちょうど紅葉の季節でしたので、早速、山方面へ出かけて撮り比べ。まずは「ちょうど見ごろ」となっていた『白山白川郷ホワイトロード』。ほぼ同じ画角(APSC135mm、フルサイズ200mm)で山全体の紅葉を撮ると、これまでは油性絵の具を塗ったように写っていたものが、ベタッとならずに個々の木が立っています。早速、お世話になっているカメラやさんにご相談、「この違いは何ですか!?」。曰く、「これがフルサイズの威力です笑」。さすがカメラやさん、写真の話になるとほんとに楽しそうで、さらにいろいろ、いろいろと説明してくれました。次に、悪天候の雨の中。雨に濡れた橋の水鏡、フルサイズの絵は艶があって、立体感が出ていました。「条件が悪くなるほど、その差が出ます!」。最後に京都、今回の目的は「もみじの永観堂」と「東福寺通天橋」。前年は出かけたのが少し遅く、清水のもみじは半分くらい散っていましたので、今回は一週早めました。しかし気温が高いまま晩秋を迎えたためか、「燃えるような紅色」とはいきませんでした。それでも、もみじの葉とお寺の屋根の色が絶妙に相まって…、ただ、ものすごい数の人人人…でしたが。
 
 従妹が70人ほどの集合写真を撮る機会があり、「皆さんの顔に合わせて調整したら、男性陣の黒い衣装がぜんぶベタッとなってしまって」と言っていました。暗いホール内での集合写真は、もともと感度を上げて撮りますので、そのままだと人の顔が白く飛んでしまいます。しかし顔に合わせて下げると、黒い衣装がベタ塗りになってしまう、その中間の設定が必要になります。最前列から最後列までピントが合うように被写界深度を少し深めにとり、最前列の人の足先にピントを合わせるとうまくいくようです。と言いつつ、私は今はホールの集合写真ではなく、小さな子供をふんわり撮る技術と格闘中です(笑)

J-PRESS 2016年 2月号