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人間っていいな
小野

 今年は雪が少ないといっても北陸の冬はなかなかに寒い。
 
 暖房の効いた部屋の窓からいつも見えるのが近所の犬。外の犬小屋で年中過ごす。我が家の犬は部屋が寒いといって布団にもぐりこむ。
 この違いを本人(本犬?)たちが知ったらどう思うだろう。
 野良犬や野生動物たちはよく生きていけるものだ。冬を乗り越えるのもきっと命がけなのだろう。
 
 そんなことを考えるとつくづく人間に生まれてよかったと思うのだが先日テレビ番組で、人生やり直したい?というインタビューを行っていた。ほとんどの人がやり直したいとの答え。
 
 いつから?の質問には中学生からというのが多かった。もっと勉強すればよかった、進路を間違えた、という理由なのだが、中には、やり直しても同じことになるだろうから今のままでいいという意見もあった。
 
 やり直して今以上によくなるとは限らない。またこの先どう転ぶかも未知の世界だ。
 
 人生万事塞翁が馬を思い出す
 
 昔、北方の塞(とりで)に住む翁(老人)がかわいがっていた馬が逃げてしまった。悲しんでいたが、駿馬を連れて戻ってきたので大変喜んだ。翁の子がその馬に乗って落馬し足を折ったが、おかげで隣国との戦乱の際に兵役を免れて無事であったという話。
 
 プロセスを大事とするか、終わりよければすべてよしとするかは意見が分かれるところだが、一区切りついたと思っても、しかし人生は続いていく。それなら結局今が一番大事という考えが支持されるのも分かる気がする。
 
 その今を頑張っている受験生が勉強している英文にこんなことわざが出てきた。
 
 You can't have your cake and eat it too.(菓子を食べてなおその菓子を持っていることはできない)
 
 一度に二つのうまいことはできないという意味。
 できればよいことは2つでも3つでも手に入れたいものだが、何もかもうまくいくという選択肢はなかなかない。
 
 町内に住むアメリカ人の知人が転職を考え始めた。仕事の希望条件を聞くと、時間はフレックスタイム(好きな時間に働ける)。仕事は家でやってもよい。英語のみでできる仕事。給料はもちろん今よりも上。
 彼に先ほどの英語のことわざを教えてやりたい。
 
 そんな彼だが奥さんにこう言っているらしい。「僕がそのうち家の一軒でも買ってやるよ。君が一生懸命働いているからね。」とんでもないアメリカンジョークである。

J-PRESS 2016年 3月号