城西セミナー城西セミナー

デはデモクラシーのデ
石川

 ここしばらく朝から晩まで繰り返される東京都知事についての報道に、正直うんざりし始めているのですが、いろいろな疑惑が見つけ出されて検証されているのを見ると民主主義って健全だな、とも感じます。
 
 予算規模13兆円超の巨大自治体を率いる知事といえども人間ですから欠点もあれば間違いも犯します。その政治に対して改善点や間違いを指摘でき、場合によってはルールに基づいて強制的に交代させることができる、その一点だけで民主主義は他の政治体制よりも優れています。
 
 勘違いしやすいですが、今回の問題は都知事個人が腐っているだけで、それを指摘・検証・改善できる可能性がある以上、政治そのものは腐っていません。後世の歴史家も言っています。“政治の腐敗とは政治家が賄賂を取ることじゃない。それは政治家個人の腐敗であるにすぎない。政治家が賄賂を取ってもそれを批判できない状態を政治の腐敗と言うんだ”と。
 
 もし、行政の長が完全無欠の聖人君子なら、全てをその人にお任せして、我々は決まったことにただ従うだけで平和な世の中になるでしょう。仮にそんな人が実在したとしても、その人の跡を継ぐ人も同様に優れているという保証はありません。だからこそ「厳しい第三者の視点」で常にチェックして、間違いがあれば正す必要があります。
 
 本当は全てをお任せしてしまうのが楽です。誤解を恐れずはっきり言えば、民主主義は面倒くさい。
 
 自分たちが主体性をもつためにある程度の面倒を受け入れられるか、それとも楽をする代わりに不正がまかり通って正すことができない嫌な世の中になっても我慢するか、少なくともそれを選ぶ自由が今の日本にはあります。
 
 自由には責任も伴います。現都知事に投票した約210万人の都民にも、今のような状況になった責任の一部はあります。ちなみに都知事選の投票率は46.14%。つまり、53.86%の都民は白紙委任状を出したので、責任もない代わりに、どんな知事でも黙って従うべきです。
 
 選挙権が18歳以上になったので、中高生ももうすぐ選挙権が得られますね。せっかくの権利、どう使いますか?
 
 神7もほとんど卒業しちゃったし…って、それは別の総選挙。誰がセンターになっても生活に影響はありませんが、誰が首長・議員になるかはとても大切。慎重に選びましょう。

J-PRESS 2016年 6月号