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映画のワンシーン
木村

 10月2日、立山室堂まで出かけました。5月に続いて今年2回めです。前回は国外からのたくさんの観光客に囲まれて(しかも皆さん高いカメラ持ってて笑)雪の大谷を歩きました。外国人の方にシャッターを押してくれと頼まれ、「撮るとき何て言えばいいんかね笑」などと笑いながら。同行者の、長年の経験とカンのおかげもあり、この日は晴天に恵まれました。
 
 立山の紅葉は早く、9月中旬が色づき始め、9月下旬が見頃。なかなか休日と天気とが噛み合わず躊躇していました。山用の天気予報では、前後1週間は曇りや雨、この日だけ、しかも午前9時から正午まで晴れの予報。ということで、午前4時半起床、5時出発で始発の次のケーブルカーに乗りました。チケットのお姉さんに天気を聞いても、ライブカメラを見ながら「いやー、ガスってますねー」との返事で、美女平はどんより雲に覆われていました。弥陀ヶ原を過ぎたあたりから、雲の切れ間に見える木々は赤赤としていましたが、室堂到着時は雨、視界ゼロでした。8時、8時半、周囲はみな雨具着用で出発して行きますが、自分はそこまでして行くつもりもありません。記念撮影の足場はずぶ濡れ、小雨になると、ちょっと外に出てみるものの、またすぐ雨。
 
 8時50分ごろ、太陽が当たり始め外に出てみると、三山のふもとからガスが少しずつ消え始め、見る見るうちに「台形」が姿を現しました。9時半ごろ、「もうちょっとで(雄山)頂上(のガスが晴れる)!」と周囲が騒ぎ始めました。天気予報、おそるべし(笑)そして、たくさんの山好きの人たちは、本当によく知っているなぁと感心しました。
 
 ここから2時間ほどかければあの頂上まで上がれる。そうすれば後立山、北アルプス槍穂、天気がよければ富士山も見える。雷鳥沢方向に、目の前に見える剱へ向かうには装備を整えてここから半日。そう思いながらも、出勤日だったため早々に下山しました(笑)
 
 残念ながら紅葉は終わっていましたが、視界ゼロの雨の中から、急速に陽が差して一気にガスが晴れる様子は、まさしく映画のワンシーンのようでした。みくりが池付近では冬支度前の雷鳥にも会え、室堂の案内人をしている知人にも会え、盛りだくさんの半日登山でした。

J-PRESS 2016年 11月号