城西セミナー城西セミナー

私は『美し国三重』で考えた
石黒

 『公益社団法人 全国学習塾協会』のシンポジウムが10月某日三重県四日市市で開催された。担当理事として半年間毎月1回のペースで、名古屋・四日市で開かれる実行委員会に高速バスで往復。300人を迎える一大イベント、前夜祭・記念式典・セミナー・懇親会・後夜祭、課題をひとつひとつクリアー、ロードマップとカレンダーを前に格闘する日々。
 
 概ね日帰りの強行軍であったが機会を見つけて『美し国』を探訪。近鉄名古屋駅からは京都・大阪をはじめ三重県賢島(今年のサミット会場)方面へ気軽に足を伸ばすことが可能。真珠養殖で名を馳せる英虞湾まで『特急しまかぜ』で2時間、伊勢市駅(伊勢神宮外宮の玄関口)へ1時間余、シンポジウムが開催された四日市までは30分。
 
 四日市、巨大石油化学コンビナートを擁する人口31万人の地方中堅都市。昭和30年代の『石油化学計画』に基づき高度経済成長の象徴であった反面、大気汚染や水質汚濁など大きな産業公害を抱え現在に至る。名古屋市が通勤圏内にあるため、公共施設や百貨店も小振りだが、従来型地元商店街は若者の歓声や熱気で溢れ、人通りが絶えず活気に満ちている。
 
 伊勢市駅から名物『伊勢うどん』『赤福』が並ぶ華やかな通りを抜け外宮へ。拍手・手水の作法も覚束ないまま参道を、幾つもの鳥居と樹齢数百年の神宮杉が厳かに出迎える。衣食住の守護神である豊受大御神をお祀りした大神宮、年間800万人が参拝に訪れる。静寂が支配し時間が止まる、神話に包まれたスピリチュアルな空間。
 
 南北180kmに及ぶ三重県、近鉄・JRを利用しての縦貫には3時間強を要する、『美し国三重』はエンドレス。

J-PRESS 2016年 12月号