城西セミナー城西セミナー

うなぎ
小野

 7月25日と8月6日は土用の丑の日。「うなぎの注文受付中」とスーパーの宣伝が盛んになってきた。いつもは値段が高いので見てみぬふりをするのだが、今年のうなぎは稚魚が豊富なためどうやら例年より安くなるらしい。10月頃にはさらに値下がりの予想もあるくらいだ。少しうれしいニュースだ。
 
 ところで土用の丑の日って何?と一度は疑問に思ったことがあるはず。そこで調べてみた。
 
 土用とは季節の変わり目の時期のことで、正確には立春(2月4日頃)、立夏(5月5日頃)、立秋(8月7日頃)、立冬(11月7日頃)の前18日間のことである。つまり土用の時期は年に4回やってくる。
 
 丑は、十二支の丑のことでこれは暦にも使われ、12日周期でやってくる。つまり、土用の丑の日は、土用の期間中(18日間)にやってくる丑の日のことなのである。
 
 ではなぜ、立秋前の土用の丑の日だけ、うなぎを食べるのだろうか。そもそもうなぎの旬は冬。おいしいうなぎを食べるなら冬が一番なのである。それなら立春前の土用の丑の日こそうなぎを食べる日にすればいい。
 
 一説によると夏に売れないうなぎをなんとか売り出そうと考えたうなぎ屋さんの作戦らしい。昔はこの時期の土用の丑の日に「う」のつくものを食べると夏負けしないという風習があった。それに乗っかって、うなぎ屋さんが宣伝を打ったのが、この時期の土用の丑の日にうなぎを食べる習慣になっていった。
 
 たとえ店の戦略に乗せられたにしても、栄養面から考えて夏にうなぎを食べるのは確かに理にかなっている。うなぎは夏バテにとても効果があるからだ。
 
 うなぎの栄養価はおどろくほど高い。たんぱく質はもちろん、ビタミン類、カルシウム、鉄分など豊富にバランスよく含まれている。中には脂肪が多いと心配する声もあるが、実はこの脂肪もEPAやDHAが多く含まれており良質な脂肪なのである。実にいいことだらけだ。
 
 しかし、いかに栄養価が高いからといっても夏に1、2回うなぎを食べただけで体調が万全になるわけではない。もっと頻繁にうなぎを食べていればよいかもしれないが、個人的にはそうしたいのだが、栄養価と並んで値段も高い。いかに値下がりするとはいえ、夏バテの前に財布がバテてしまう。あるうなぎの有名店が、うなぎ弁当を例年より200円値下げして販売したらしい。それでも値段は2500円。思わず焼肉屋に行ってしまいそうな値段だ。
 
 とはいえ、せっかくスーパーでうなぎの宣伝をしているのだ。夏バテ対策、栄養、なんて難しいことは考えず、たまの贅沢においしいうなぎでも食べようじゃないかと、うなぎの味を楽しむことにしよう。

J-PRESS 2017年 7月号