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大切な場面を
木村

 近々、ホームパーティ(というと語弊があるかもしれませんが)に撮影隊として呼ばれることになりました。初体験です(笑)。演奏会よりは少しお気楽で、じゃんじゃん撮ればいいだろうなぁと考えていますが、だとしたら、皆さんの笑顔をいかにタイミングよく残せるか、とても楽しみでもあります。もともと、お花や風景よりも、人を撮りたいのが写真の始まりでしたが、ちっちゃい子にしても演奏会にしても、人物撮影は非常に難しい。そんな中、こうした機会をいただけることをたいへんありがたく思っています。
 
 いちばん最近の演奏会で、これは自分も参加するためカメラマンはできなかったのですが、他に撮影スタッフがいました。しかし、プロへの依頼ではなく、趣味の延長で来てもらったために、「演奏会ちゃ初めてでねぇ」。リハーサル前の準備の様子からじゃんじゃん撮ってくれるのですが、いざ本会場でリハーサルとなると、バシャンバシャンとシャッター音が鳴り響き、オートフォーカスの補助光が点灯し、勝手にフラッシュが。主催者から「あれはダメやなぁ、なんとかしなくちゃ」。助言をすると、オートでしか撮ったことがないためフラッシュを止める設定をどうすればいいかもわからない始末。
 
 照明など明暗差の大きな会場ではそれだけでも難しいのに、イベント、特に音楽関係の場合は「音」と「光」がお客さんの妨げにならないことが大前提です。私ももっとも苦労したのがこの「シャッター音」。最近のキヤノン機には静音シャッターが搭載されていますが、さらに本体を大判のバスタオルなどでぐるぐる巻きにした状態で、なおかつ演奏の音が静かになるタイミングでは絶対に撮らないという最大限の配慮が必要です。来てもらったスタッフさんは、「もう演奏会は撮りたくない(笑)」と呟いていましたが、その意味では、たいへん勉強になる機会でもあります。念のためと思い、自分は参加しながらも三脚を立て、バスタオルでぐるぐる巻きにした上で一定時間隔撮影モードでも撮りましたが、スタッフが客席を動きながら撮った絵よりもきれいに撮れていました(笑)
 
 私の師匠は、演奏会はもとより、友人知人の結婚式の撮影にも依頼されて出向きます。ちなみにプロではなく、あくまで趣味の休日カメラマンですが、依頼する側からは「プロに匹敵するいい写真をたくさん撮ってもらえる」との声も。演奏会もやり直しのきかない場面ですが、結婚式は、会場の明暗差がより激しかったり、何より、大切な記念の場面を預かると思うと、私には到底無理そうです(笑)
 

J-PRESS 2017年 8月号