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私は『与那国島』で考えた
石黒

 沖縄県には大小160の島々が東西約1,000km南北約400kmの広大な海域に点在、有人島は49島、無人島は111島(平成27年1月現在)。最も北にあるのが(1)伊平屋島、南に(2)波照間島、東に(3)北大東島、西に(4)与那国島。(1)は沖縄本島からフェリーが2往復/日、(2)は石垣島から高速船が3往復/日あるものの、冬場は時化により50%以上の確率で欠航。(3)は那覇空港からの飛行機が週に3往復のみ(南大東島経由便もあり)。
 
 昭和56年以来の豪雪が北陸を襲った1月中旬、琉球エアーコミューターの最新鋭機DHC8-Q400CC型機(プロペラ機)で、石垣島から127km離れた与那国島へ(那覇空港からの直行便もあり)。人口1,700人、漁業・サトウキビ栽培・畜産が主要産業で、島の南半分と東崎(あがりざき)では『与那国馬』が放牧されている。『沖縄=真っ青なビーチ』とは程遠いため、観光客も少なくホテルタイプの宿も稀有。
 
 Q400CC機は10数名の乗客と貨物室一杯の生活物資を載せ、2,000m滑走路(2007年に延伸)を擁する与那国空港に着陸、タラップを降り徒歩で平屋建てのターミナルへ。ロビーには間口2mほどの売店が数軒、かじきのかまぼこ・泡盛・黒糖…おばぁが「くばもち、まぁさんどぅ!(くば餅、美味しいよ)」。(中略)レンタカーを走らせ東崎展望台へ、馬が草を食む姿と、青い東シナ海とのコントラストに息を呑む。
 
 昼食を摂っていない事に気付き食堂へと向かう。南風(ふぇーぬかじ)に揺れる『準備中』の札、途方に暮れる。通りがかりのバイクのおじぃが「やってるさぁ」、階段を上がると店名の『国境』の看板、思い切ってガラス戸を開ける。「めんそーりよーたい!」、ゴーや料理を貪る数名の客と季節はずれの風鈴の音。時刻は午後2時半。

J-PRESS 2018年 3月号