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時間の使い方
小野

 4月といえば、入学式、花見、(個人的には花粉症)などちょっと他の月とは違う雰囲気があります。
 
 大学に入学したとき、先輩から、4月の授業はガイダンスばかりだから遊んでても大丈夫だよ。と吹き込まれました。それを信じて気を抜いていたら試験前に徹夜で勉強するはめに。
 
 こんな失敗をしないよう勉強や仕事に関して時間の有効活用について教えられることはありますが、もっと視野を広げて人生という時間の使い方となると難しいものです。
 
 時間の価値はその使い方によって決まると言った哲学者がいました。1ヶ月の過ごし方を考えても、24時間×30日は誰にでも平等に与えられていますが、必死に勉強して過ごした人と、だらだらと遊んで過ごした人とでは、得られるものに差がつくのは当然です。過ぎ去った1ヶ月の価値はまるで違ったものになります。
 
 同じ使い方でも目的によってその価値はさらに変わってきます。
 
 例えば「寝る」という時間の使い方。休養の必要な人にとっての睡眠は貴重な時間となるでしょうし、ひまだから寝てる人の睡眠は時間の浪費かもしれません。
 
 「走る」にしても、オリンピックや箱根駅伝などで走るのは多くの人に感動を与える「走る」ですが、トイレに向かって走るのは、そんな状況にはなりたくない「走る」です。
 
 一生懸命頑張るのも、何に頑張るのかを間違えると大変なことになります。
 
 我が家の愛犬は眠くても頑張って起きていようとすることがあります。「頑張らなくていいよ。」と声をかけますが、なぜそこで頑張ろうとするのか意味がわかりません。
 
 毎日頑張って学校で勉強するのは感心しますが、インフルエンザにかかった人が頑張って学校に行ってもらっては困ります。治療と感染を広めないことに努めてもらいたいです。
 
 過労死を取り上げた番組を見たことがあります。フランス語が堪能で、会社のため、人類のためと言って最前線で働き続けた優秀なサラリーマンが過労で突然倒れる。もう働けない状態と分かると会社から見放される。最後に「不徳の致すところです」と涙ながらに言っていたのを覚えています。
 
 せっかく頑張ってきたのに人生の最後で後悔してしまっては取り返しがつきません。人生において頑張る方向を正しく知ることができたらどれほど良いかしれません。
 
 最近、アンパンマンの歌をよく聞くのですが、歌詞が実に深いのです。「何のために生まれて、何をして生きるのか。答えられないなんて、そんなのはい~やだ。」最初の歌い出しからこの歌詞です。アンパンマンはすばらしい哲学者に違いありません。

J-PRESS 2018年 4月号