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許容錯乱円
木村

 7月に入り、大変な暑さが続いていますね。5月~6月と、定番ともいえる「ばら」「あじさい」を例年のごとく撮影に行きましたが、半袖で小一時間も外にいると腕が真っ赤になってしまい、そういった場面では今年はほとんど長袖です。それはそれで暑い暑い(汗)これからいよいよ夏山の季節ですが…。
 
 最近は「プロカメラマンも驚愕した、脅威のカメラ機能!」と謳われたスマートフォンが発売されたそうで、カメラが一層身近になりつつも、一眼レフ離れが進んでいます。この一年間で「どんなの買えばいいですかね」と相談された人たちはことごとく小型のミラーレスを選択しました(苦笑)。綺麗には撮りたいけれども、手軽に持ち運べていつでもサッと撮りたいほうが優先されます。
 
 無骨な一眼レフでないとなかなか撮れない絵とは、(1)「背景をきれいにぼかし、被写体を引き立たせる」、(2)「夜景や天体、暗い室内での撮影」、(3)「大きな引き伸ばしにも耐えうる風景」、でしょうか。(2)については、カメラのセンサーサイズが決定的にモノをいいますので、いかに大きく無骨な機械であってもセンサーが小さいと限界があります。(3)については、データの情報量(画素数)が必要です。しかし画素数は多ければよいというわけではなく、1画素あたりのセンサーの面積に余裕が必要です。小さいセンサーに多くの画素数を詰め込むと負担がかかりノイズが出やすくなります。また、画素数が多いほど、僅かなブレも反映されてしまいますので、最近の一眼レフは高画質化のため、一部のプロ仕様機を除いて画素数を減らす傾向にあります。ちなみに私は、基本800万画素(36×24)に落として現像します。A4サイズの鑑賞であればこれで充分。(1)については、絞り値を小さくしてレンズを大きく開けるか、望遠レンズを使うかです。どちらの場合もセンサー面にできる錯乱円(これがボケの正体)が、絞りを開けると入射光が大きく屈折して円が大きくなり、望遠レンズは屈折率が低く焦点距離が長いため円が大きくなります。そしてセンサーが大きいほど『許容錯乱円径』が大きいため、(3)も結局のところセンサーサイズが影響します。
 
 まぁ、私にとっては機械を楽しみたいわけではなく、素敵な場面を残したい。ちっちゃい子を撮りたくて一眼を始めたのですから、笑ってくれさえすればどんな場面でも大歓迎です。ただ、その笑顔を少しでも綺麗に残せたらいいなぁと(笑)

J-PRESS 2018年 8月号