私は『離島』で考えた(2)石黒
沖縄有人離島巡り44島目は『新城(あらぐすく)島』。西表島の南東約7km、石垣島の南西約23kmに位置し上地島と下地島からなる。2島の間は約420m、リーフで繋がっており大潮の干潮時には歩いて渡ることが出来る。上地島は長さが約2.5km、最大幅が約0.7km、大部分は森で覆われており、常時住んでいる人口は10人。下地島には集落は現存せず、島全体が肉用牛の牧場になっており人口は僅か1人。
新城島は神秘のヴェールに包まれ、命の危険すらあると囁かれた奇祭『豊年祭』が。『ンブプル』と呼ばれ基本的には豊作を祈願する。普段は閑散とした集落内も、豊年祭には全国各地から元島民と親族が大勢戻ってきて、戦後の集落の賑やかさを取戻す。祭りの2日目、草の人形のような姿をしたニロー神(アカマタ・クロマタ)の4神が集落の家々を尋ねて回り、3日目には御嶽にて来年の豊作祈願を行う。
豊年祭の期間中、島の出身者以外が上陸することは許されず、日帰り旅行ツアーも休止。船着き場が厳重に監視され、船が島に近付くことすら許されない。部外者が絶対に見てはならない儀式があり、島民であっても写真・ビデオの撮影は絶対禁止、奇祭の絵を模写することもタブーという厳格な掟が。1968年、禁制の場所に入り込み撮影した部外者が、島民により暴行を受けた事件があったほど。
ジュゴンが生息する透明で神々しい綺麗な海、真白い砂浜や興味深い御嶽や遺跡、奇祭までもが根付いている新城島。次の沖縄旅行に『魑魅魍魎の離島:新城島』を加えてみませんか?●新城島へのアクセス●定期便(船)は無く、島民主催のツアー(石垣島・西表島発の高速船が臨時に寄港)に参加するか、西表島からシーカヤックで2時間(7km)。島内に入るには島民の同行(ガイド)が必要。